あなたは今までに上着にちょこっと出ている糸をとろうとしたら、とれずに、カールしたままになっていたことはありませんか? 天文学者はそれと同じことが宇宙でおきているのを見つけています。 連星系という、おたがいに回りあっている2つの星でのできごとです。一方の星が動くにつれて、なかまの星から出てただよっている物質を引っぱり、みごとな渦巻(うずまき)をつくっています。
この写真の中央にある星は、赤色巨星です。この星は、平均的な大きさの恒星(ちょうど太陽のように)でしたが、年をとるにつれてふくれあがりました。そして大きくはなったのですが、さらに熱を出すことはなく、その結果、温度は下がりました。温度が下がってくると、その星の色は、もっと赤くなってきました。これって、ちょっと変でしょ? だって私たちは、ふだん、赤い色を“熱い”ときに使いますよね。例えば温水の蛇口(じゃぐち)の色とかに。でも天文学では逆なんです。最も熱い恒星は青色で、低い恒星は赤色なのです。
赤色巨星は太陽の数10倍、なかには数100倍もの大きさになります。そしてあまりにも大きくなりすぎて、自分の一番外側の物質を保(たも)つことができなくなります。この段階になると、赤色巨星は膨大(ぼうだい)な量の物質を宇宙に逃(に)がしてしまい、その結果、ガスとチリでできた分厚い雲に囲まれてしまいます。
ほとんどの恒星は、いずれはガスとチリとに包まれた赤色巨星になります。でも今回初めて、天文学者たちは赤色巨星からのガスが光りながら渦巻きになっているのを発見しました。このめずらしい形は、見えない近くの星によってつくられたもののはずです。その近くの星は、観測するには暗すぎますが、こんな渦巻きができているのですから、近くに必ずあることがわかります。
知っ得ダネ
赤色巨星は非常に多くの物質をふき出し、その物質からは再びたくさんの星や惑星ができます。そして生命の誕生にも役立っているのです。実際、たぶん、あなたの体の中にも赤色巨星から出た物質がいくらか入っているでしょうね!
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