天文学者たちは、宇宙で最も強力なエンジンであるブラックホールを理解するための第一歩をふみ出しました。しかし、ブラックホールは物質をいっぱい食べるだけで、どうしてエンジンになるのでしょうか？じつは、ブラックホールは実際のところ、多くのエネルギーを宇宙にもどす役割をはたすたいせつなメンバーです。
上の想像図では、ブラックホールがその背後にある近くの星から物質をのみこんでいます。永遠に消える前に、星からの物質はブラックホールの周りで非常に高速に加速されます。この高速に移動する物質は、エネルギーとしてX線を放出し、それは宇宙空間に放出されます。と同時に、ブラックホールは、上下からふき出す強力な物質の流れによってエネルギーを放出します。
すべてのブラックホールが同じようにエネルギーを放出するわけではありません。このことは長い間天文学者を困らせてきました。その問題とは、X線として放出されるエネルギーの量と物質のふきだす量との間の関係にあります。初めのうち、天文学者は、この関係がすべてのブラックホールで同じだと考えていました。しかし、変わりものが発見され始めました。
変わりものの数が増えるにつれ、実際にはわずかに異なる2種類のブラックホール・エンジンが存在するように思えました。1台のエンジンがガソリンを、もう1台がディーゼルエンジンを使用しているかのようです。
現在、天文学者たちはブラックホールを観測しています。ブラックホールは、あるタイプのエンジンを持っているようなふるまいから、別のタイプのエンジンに切りかえているように思えます。これは、ちがうタイプのブラックホール・エンジンがあるというより、2つの異なる方法でエンジンが動作できる、ということなのでしょう。
知っ得ダネ
ブラックホールの反対側をホワイトホールといいます。何ものも、たとえ光ですらホワイトホールに入ることはできません。しかし、そこから逃（に）げることはできます。でも、実際の宇宙にはホワイトホールが存在していない可能性もあります。これは、非常にむずかしい数学の問題のほんの一例です。
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